複写機3

私は、大学の先輩から休暇が多くて給料も悪くないよ、と勧められてこの会社に入社しました。カメラとか複写機とかを作っている会社です。私は大学で物理専攻だったせいか、複写機の物理設計という部署に配属されました。まず最初は販売会社で3ヵ月の営業研修です。都内の営業所に配属され複写機の訪問販売をやりました。担当した地域のオフィスというオフィスのインターフォンを鳴らし、複写機のご紹介に伺いました、新人なんです、を繰り返すのです。もちろん簡単に売れるわけないので、なかなかきつい研修です。販売会社は完全に体育会系の職場で、オフィスに入るときは大声で、ただいま帰りましたー!!の世界です。

そして研修が終わり、複写機の開発部門に出社です。初日オフィスの扉をあけ、営業研修で培った声量でおはようございまーす!!とやると、誰も返事をしません。朝の体操の音楽がなっても誰も体操をしません。営業の現場とは違ったどんよりとした空気が漂っています。みな作業服を着ていますが、よくみると黒く汚れている人がちらほら、中には、真っ黒と言ってもいいようなものすごい汚れの人もいました。トナーまみれの開発生活のスタートです。