帯電、露光、現像、転写、定着という順序で、複写プロセスが進んでいくのだが、最初に定着を説明したので、その前段階の転写について書く。
定着は紙に乗っているトナーを熱で定着させる工程だが、転写は感光ドラムからトナーを紙に転写する工程である。例えば、静電気を帯びた下敷きに粉が付いていることを想像してみよう。この粉を紙に移したいので、接触させてみる。たぶん全然移らないだろう。じゃあ、紙も帯電させてみよう。うまく帯電させると移るかもしれない。しかし、転写すべきトナー像はその像を乱してはいけないのだ。このような想像でかなり難しそうなことがわかる。そして、紙を帯電させると、その紙が下敷きにくっついてしまうだろう。それをはがすことも必要となってくる。
実際の複写機では、感光ドラムに形作られたトナー像と紙を接触させるとともに、紙の裏をコロナ放電などで帯電させ、そして更に紙をドラムからはがすための電気的工夫をしている場合もある。少なくとも、この転写工程における帯電条件は非常にシビアである。コロナ放電の強さやコロナ放電ユニットの位置関係など最適化することが必要である。またこの転写工程にコロナ放電を用いず、ローラだったり、ベルトなどを使用する場合もある。いずれもメリットデメリットがあるのだが、やはり様々な条件の最適化を行い、定着工程でも述べたような耐久性、耐環境性を満たすことが必要となる。